美術館
色の洪水、用をなさない切り取り線
織り込まれた祈りに、漏れた願い
影の呼吸、鼓動、偽物の生々しく、生
狙い済まして、反射、すべてが計算通りに
綺麗な割れ物、箱の中、世界も、そこへ
大陸の匂い、そこは遠く広い
■
部屋が青白く沈んでみえる、午前6時の夕方。
すべての輪郭がやわらかく溶け出していく。
たくさんあるのに何もない、はりぼての貴婦人みたい。
ことばと目蓋が落ちてきて、ここはもう崩れてしまった。
練
傾くそれ 安定性がほしいのです
ひっくり返った世界では意味が生じますか?
逆さのおもちゃ箱 がらくたの積み重ね
誰かそれに名前を
ここにあるものがすべて 満たされているそれ
零れおちるものは追わないで
つくった砂のお城 私にしか価値がない
それで良いのではないの?と笑って下さい
無意味でしかないのだけれど
このまま溶けて一緒になりたい
あなたは私になりたいの?
雨の中で手を繋いで歌いましょう 誰にも聞こえない讃美歌
牛と一緒に未来を見に行こう 湖のなかでわたしたち ずっと子供のまま
森はあっち 私を一緒に連れて行って
一緒に食べたパイで永遠を約束して
傘の向こう 斜め後ろから見つめていて
ずっと、ずっと
近寄らないで 見ているだけで満足でしょう
こんにちはなんて大それている
踏み潰した鏡 何も映さない
きれいな色はとけてしまった
白く濡れた電線 傘をさした 内側の心臓
誰もそれをどうか奪わないで
どれに乗ればわたしたちを幸いの都へ連れて行ってくれるのかな
ほら、みて また電車がくる
の
手をぎゅっと繋いでいて
悪い夢を見ないように
イヨ
糸はほつれて ガラスは砕けていく
しゃぼん玉は割れて 積み木は崩れた
たくさんの鶴の繋ぎ 枝の結び目
並んだ馬 吊られた色紙たち
きみが選んだことだよ
溜
それは向こう側
大小の破滅願望 純粋な欲求
切り裂いたそれは何色だった?
あまいにおいは嫌い
朝なんてこなければよかった
白い光に溢れる水 ぜんぶ溶けだしていくね
夜にはまた満ちていく
肥えて汚れて萎んでおちていく
こんな風になりたかった?
きれいなままのあの子は止まったままだね
それでも愛して その両手を