発光体

穏やかなそれ

 

はがして引っ張る音を手繰り寄せて

点滅する選択肢で立ち止まることを選んだ

ポケットの両手は千切れて

減ったソールに削げた踵 イヤホンの両耳は聞こえてない

 

双子のもげた頭になぞらえた言葉はおちる 

 

聖書が燃えてしまった 灰は食べた

言葉を食べて異物は吐いて観察する

意味などそこに発見できない

蹴り倒した塔 飛ばないから羽は溶けない

 

中を汚す色は透明 見えないものに侵されていく

縛る色は無色 ほどけたリボン 脱げたトゥシューズ

 

睡る女は死んだよう 空っぽの空洞 無の考察

完璧な器の水は溢れた

閉じた封筒の便箋は破れた

何も赦されていないよ 笑っている

 

まわる まわる あたまのなか

なぜまわる

ひとの心がわからないのがおそろしいのか