発光体

穏やかなそれ

2016-01-01から1年間の記事一覧

部屋が青白く沈んでみえる、午前6時の夕方。 すべての輪郭がやわらかく溶け出していく。 たくさんあるのに何もない、はりぼての貴婦人みたい。 ことばと目蓋が落ちてきて、ここはもう崩れてしまった。

傾くそれ 安定性がほしいのです ひっくり返った世界では意味が生じますか? 逆さのおもちゃ箱 がらくたの積み重ね 誰かそれに名前を ここにあるものがすべて 満たされているそれ 零れおちるものは追わないで つくった砂のお城 私にしか価値がない それで良い…

手をぎゅっと繋いでいて悪い夢を見ないように

イヨ

糸はほつれて ガラスは砕けていく しゃぼん玉は割れて 積み木は崩れた たくさんの鶴の繋ぎ 枝の結び目 並んだ馬 吊られた色紙たち きみが選んだことだよ

それは向こう側 大小の破滅願望 純粋な欲求 切り裂いたそれは何色だった? あまいにおいは嫌い 朝なんてこなければよかった 白い光に溢れる水 ぜんぶ溶けだしていくね 夜にはまた満ちていく 肥えて汚れて萎んでおちていく こんな風になりたかった? きれい…

あなたがいうならそうなんじゃないの

微睡みを数えて それは無意味の象徴滑り落ちたそれら拾い集めたら意味をなすだろうか水玉の集合体 ぜんぶ潰れてしまえばいいのにそしたらきっとひとりになれる群れかたまったそれら せんぶ結び目をほどいてしまいたい鏡の向こうは不快の国 割ってしまえば救…

M

隣の庭はとてもきれい 踏み荒らしてしまいたい 恵まれているのがわからないの 荒れ果てたそれをみたらきっとわかるよ ことばは呪い 彼女は呟いて縫い付けた 喋れない口に呆れた ことばは呪い 汚い文字を紙に書きつけた 汚い字に呆れた指は折れた しゃぼん玉…

罪悪

眠りは救いだ風景を消して 思考も止めた生活は嫌い心臓は止まらない彼らの不安が怖いそんなものありはしないどうしてそうなんだろう普通なのだから聞けやしない

いとしい人がよく眠れますように。それだけが願いです。

パズル

当てのないジグソーパズルなんてどうかしてると言った それはそれで楽しいじゃないのと答えた それを聞いてわらって そんなのはからだに良くないと言った しかし思想ともっというなら煙草の方がからだに悪いと思った 際限なく増えていくピースをかき集めて …

念慮

皆のを開いてみたい 混濁した流れを整えてみたい 誰だってそんなこと出来ない 目に見えたらどれだけ楽だったんだろう 何に蝕まれていくんだろうか きれいなもので汚れたい 見えないものは怖いよ 綻びた思考 花開くのであればどれだけ良かったかな 表紙を撫で…

深い青に沈んだ四角の群れ 手を繋いで歩いた 歩きたばこ ひかる魚の目 手を少し強く僕は握る みえない星 信号機が瞬く 浴室が黒に沈む 何も見えない 魚になった 歪んだ像 割れて溶けて流れた 四角にならぶ虫 与えられた意味に従ってうごめく 食べていくわた…

はがして引っ張る音を手繰り寄せて 点滅する選択肢で立ち止まることを選んだ ポケットの両手は千切れて 減ったソールに削げた踵 イヤホンの両耳は聞こえてない 双子のもげた頭になぞらえた言葉はおちる 聖書が燃えてしまった 灰は食べた 言葉を食べて異物は…

オールフィクション

彼女がこちらをそんな目で見るようになったのはいつ頃からだったろうか。 僕にはもう思い出せない。思い返せばずっとであった気もする。 香水と煙草の香りが混じった匂いはどうしても好きになれず、煙草を吸いながら本を読み、度々文庫に灰を落してしまう癖…

双頭がこちらを見て笑っているの それはもう治らないね お医者様の優しい微笑み 二本足が泣いているのが彼には見えない 偶像理論で何もない 歪めて狭めて妨げて何をしたいの 見る夢はどうですか 墓荒らしは捕まってしまった 抱いた陶器 冷たい床 同族嫌悪で…

海抜7mで痙攣する目の女たち 乳は煙 子守歌は雲 地獄にも福音は鳴る 生を知らしめるもの 切って問題は生じない 要らないもの いつだってそれに等しい 踏み潰した生首 広がらない色 鳶の梟は羽が折れて飛べなくなった 階段の下のモルグ 君はいなくなった 切り…

君は何をやりたいの?と笑っていた彼女 ばらばらにしたのはだあれ? 校舎裏でひしゃげた花をきれいだって笑った僕はきっとおかしいんだ 奪わないと得られないと怒っていた彼女 君には声が聞こえないの? 僕にはずっと聞こえているよずっと 回る洗濯機を見つ…

水彩画を描いているのよと笑った彼女 夏は息ができなくなる きみがくれた呪い 本当に描きたかったのは油絵 淡く滲ませるよりも重ねたかった 嘘で包まれたそれら 何を与えてくれるの 空っぽをどうか満たして そこに真実がありますように 間違っていたって構わ…

夕方と

曖昧な色は気持ち悪い 笑うみたいに染まっていく 絞める首は遠い夕方 女たちが駆けてひしゃげる将来像 洗っても落ちない指先の人工のかおり 泡と混ざって気持ちが悪い 階段下の空っぽの墓地 ここに入るのは一体いつ 指先で触れてみたい 産みおとした空白 こ…

休日

夜の螺旋は二重で立体構造 羊水が静かに満ちている みんな流れていってしまえばいい みえない瞳の光は道標になるって言っていた でもわたしにはここがどこか分からない もう何も見えなくなってしまったから わたしの瞳も誰かの道標になれますか 葉脈が透けて…

黄色と水色の頭 同じものが詰まった宇宙人 分からないわあなたのこと 柔らいのがとってもこわい 宇宙人の頃に知ったのは拒絶 701の思考の産声 未熟児が並ぶ 死んだあのこはきっと立派になれたのに 双頭の声が孕ませ殺すのよ 一方通行干渉で今日も声は消えて…

ここは海抜何メートル犬猫芝居 旧市街は崩れ去ったよ 前進する部屋で声は鳴るね誰にも聞こえないから大丈夫薄荷色の深海魚どこに行こうというの 隠した死体はどこですかそんなの色では隠せないよ 笑う仙人掌ピンセットをくださいラスサビで死んでしまおうか …